6日目

午前、ニースへ移動。のはずが…

午前9時過ぎか11時過ぎの2本が直通でリヨンからニースに行くTGVです。
9時過ぎのに乗ろうと、ちょっと早起きして8時過ぎには駅に着きました。

到着駅の隣駅なのですが、こちらの方が現在のメインの駅のようでとても立派です。
切符売り場がどこかと地図を覗き込んでいたら係員の人が声をかけてくれるなど、とても親切。
切符売り場も同じく親切な対応でした。今度はコンパートメントが取れちゃいました。

ホームが決まるまで待っていたのですが、いつまでたっても決まらず。気付いたら1時間遅れの印が出ています。しょうがないからぼんやり待っていたら、日本人のご夫妻が声をかけてくださったのでおしゃべり。関西の方で、ご主人のお仕事の都合でついでに旅行をされているという、なかなか羨ましい環境です。今日はアビニヨンに行くの、ということでした。
私たちのほうが先の出発時刻だったのに、ご夫婦の方が先に出てしまいました…。
結局1時間半おくれでリヨンを出発。ホームが決まったのも出発10分前でした。

この電車は1本前のだけどかっこよい2両編成。


マルセイユまでは順調に走ったのですが、そこで止まったきりずっと動かない電車。
どうも周りの人たちが出たり入ったりしているし、何かなあ?と思ったらコンパートメントで一緒だったご夫婦の奥さんが、教えてくれました。「マニフェスト」が起こっていて、国鉄の職員が電車の前に立ちふさがって飲んだり食ったりしているのだというのです!
げげ。
当分動かないらしいということだけははっきりしました。その話をしてくれた奥さんも待ちきれずに途中であきらめて降りていきました。
この日はサンドイッチなどを仕入れていなかったので、お昼を過ぎておなかはすくし、電車は当分動かなそうだけれど、万が一を考えるとあまり電車を離れてうろうろする気にもなれず、せいぜいホームに出てみる程度です。
こういうとき、言葉がわからないって本当に心細いなあ、と思います。ましてこういう時に限ってコンパートメントだから情報が入らないし。
結局、3時半頃までずっと電車の中にいましたが、一般車両にいたおばさんがニースに行くんでしょ、バスが出るから一緒についてらっしゃい、と声をかけてくれました。もちろんフランス語ですがそういう時って分かり合えるものですね。
バスってバスでニースまで行ったらえらく遠いなあ、と思いましたが、とにかくその日のうちにニースにつければいいという状況になっていたので、渡りに船でついていきました。
駅の中は電車を待つ人が大勢いて、それをかき分けてバスへ。バスは普通の乗り合いバスなので、どうやらどこかで降ろされるだろうことだけは確実ですが、この時点では次にどうなるのかわかっていません。聞いてもわからないんだもん。
ただ、バスの運転手さんにニース?ってバスを指差しながら聞いたら入れ入れ、という。車内にいた人が、バスでニースに行ったら6時間かかっちゃうよ、なんて英語で軽口をたたいていましたが、余裕がなくて反応できませんでした。

そんな訳で思わぬマルセイユバスツアー。なんだか薄汚い建物ばかりで、男性的な港街という風情です。ちょっと行ったところで渋滞のなかを全員降ろされました。近くに別の駅があって、そこにTGVの代替車が止まっていました。
結局、その駅を4時半ごろ出て、ニースに着いたら7時すぎ。昼間だったら海辺の景色がきれいなはずだったのに…(涙
ニースの駅も人でごった返していました。家に帰りたくても電車がないし、宿泊の予約は取れないし、というかんじの人たちの怒号が飛び交っていました。

かろうじて看板を撮ってみた…。周りの人ににらまれてしまいました。
タクシーでホテルへ。運転手さんは気のいいあんちゃんで、和ませてくれました。
ホテルで部屋に荷物を置いたら即行食事をしに外へ。

ニース風サラダ。
食べ終わってやっと人心地つきました。
電車の中であのおばさんが声をかけてくれなかったらどうなっていただろうと思うとほんとにありがたかったです。それから、1本後の電車を選んでいたらこの日のうちにリヨンから動けなかっただろうな…とか、色々頭を駆け巡ったのでした。
そんな訳で、この旅行のどこを見たことよりもこの移動がとても濃い思い出になってしまったのでした。